特許数 【教育・科学技術イノベーションの現況【2023年版】】

2024.05.21

3-1-8  特許数

 特許とは、新規性のある高度の技術的発明をした者の出願に基づいて、政府がその権利を一定期間保護することである。従ってその認定は国毎に行われる。全世界における特許出願数は1990年代半ばから年平均4.7%で増加し、2020年には328万件に達している。

 この中には単一の発明を複数の国に対して出願した結果複数の特許が得られたものも含まれる。科学技術活動の結果としての発明の件数を指標としてとらえようとするなら、複数の国で特許化されても内容が同一であれば一つの特許とカウントすることが望ましい。このため、ここではパテントファミリーによる分析を示す。パテントファミリーとは、優先権によって直接、間接的に結びつけられた2か国以上への特許出願を束ねたものである。具体的には、三極特許ファミリー、即ち、欧州特許庁(EPO)、日本特許庁(JPO)、米国特許商標庁(USPTO)という3つの主要特許庁に登録された特許の集合体であり、カウントは発明者の居住国に起因している。

 パテントファミリーを含め、特許の主たる出願者は産業である。従って、各国の特許を比較することにより、各国の産業の研究開発の成果の状況を比較することができる。

 1位の日本と2位のアメリカの数値が大きい。日本は2010年に比べて減少しており、アメリカも微増にとどまっている。特許件数の伸びが大きいのは第3位の中国であり、10年間で約4倍に増加している。ドイツ、フランス、英国などヨーロッパ諸国は件数を減らしている場合が多い傾向にある。

 その他で件数の伸びが大きい国としては、韓国32%、イタリア33%、スウェーデン34%、台湾56%、イスラエル66%などをあげることができる。

(桑原 輝隆)

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