OECD生徒の学習到達度調査(PISA)

2024.05.10

2-1-11 OECD生徒の学習到達度調査(PISA)

 「OECD生徒の学習到達度調査(PISA:Programme for International Student Assessment)」は,OECDが2000年から3年ごとに実施している国際調査である。読解リテラシー、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野の調査を通して,義務教育終了段階の15歳児がそれまで身に付けてきた知識や技能を,実生活の様々な場面で直面する課題にどの程度活用できるかを測っている。調査結果からその国の教育制度の長所や短所が明らかになることから,政策立案に資する基礎的データとして活用されている。なお,2012年までは筆記型調査だったが,2015年以降はコンピュータ使用型調査に全面移行した。更に,2018年調査には,中心分野である読解リテラシーに,生徒の解答結果に応じて出題内容を変える「多段階適応型テスト(MSAT)」手法も導入している。

 「表2-14」「表2-15」「表2-16」は,過去3回の調査における主要3分野の各国の平均得点について,OECD加盟国の上位30か国と,OECD平均,およびOECD加盟国中の参加国数を示している。日本の過去3回の調査の順位を見ると,数学的リテラシー,科学的リテラシーでは1位又は2位の間を推移しているが,読解リテラシーの順位は1位→6位→11位となっている。なお,例えば読解リテラシーは2012年では1位であったが,統計的に考えられる平均得点の上位及び下位の順位を見ると1-2位のように幅が生じるため,各国の順位を見る際には留意する必要がある。

 「図2-2」は,2000年から2018年までの各分野の日本とOECD加盟国の平均得点の推移を示している。日本の経年変化を見ると,全分野共に2012年の平均得点がピークとなっており,読解リテラシーは498点から538点の間で波形を描き,数学的リテラシーは532点から536点,科学的リテラシーは529点から547点の間と,高い平均得点を維持している。

 質問調査の回答からは,日本はOECD平均と比べて,学校の授業でのICTの利用時間が短いこと,学校外でのICTの利用は1人用ゲームやチャットに偏っていること,30歳時に「科学・工学分野の専門職」の職業に就いていることを期待する高成績者の割合が全体・男子・女子のいずれも低く,その男女差の値が小さいこと等が明らかになっている。                     (河原 太郎)

*PISA2022は、新型コロナウイルス感染症の影響で、2021年に予定されていた調査を2022年に延期して実施した。

参考:「(国立政策研究所)https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/」、「(OECD)https://www.oecd.org/pisa/」、「(OECD PISA問題集) https://www.oecd.org/pisa/tesu/」

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