教育・科学技術イノベーションの現況調査【世界と日本】

概要

【調査の狙い】

本書は、我が国で初めて、教育と科学技術イノベーションの世界と日本の現況を調査したものです。これにより、教育と科学技術イノベーションにおける世界の中での日本の位置付けが把握できるとともに、この30年間における教育と科学技術イノベーションへの投資の停滞がいかに日本の発展を妨げてきたかが分かります。

 

【本書のポイント】

(1)日本は、「教育投資の停滞」が「科学技術イノベーションの低下」を招き、「科学技術イノベーションの低下」が「GDPの低下」を招き、さらに「GDPの低下」が「教育と科学技術イノベーションへの投資のさらなる停滞」を招く、という負のスパイラルに陥っています。ここから脱却しなければ、日本の未来はありません。

(2)日本がこの負のスパイラルから脱却するためには、1)人材育成のための教員の確保等に必要な教育投資の抜本的な拡大、2)科学技術イノベーションを進める人材育成等に必要な科学技術イノベーション投資の抜本的な拡大、3)これらを進めるための組織体制の抜本的な改革、に全力で取り組まなくてはなりません。

(3)特に、具体的に、次のような取組みが必要不可欠です。

1)教育と科学技術イノベーションの確実な予算確保を立法により根拠づける。

2)教育の予算については、まず小中高の教員の給与水準を抜本的に改善し、優秀な青少年が喜んで選択する進路となるようにする。また、これにより、大学院の修了者にとっても進路の選択肢となるようにする。

3)科学技術イノベーションの予算については、まず人材育成を抜本的に強化する。このために、国は、公務員制度改革、企業における研究開発の強化の支援等により、社会における博士取得者の活躍の場の拡大とその環境の整備を進める。それと合わせて、博士進学者の拡大の支援を進める。

4)教育と科学技術イノベーションを所管する省を別にして、それぞれに専門人材を確保する。

 

 

【日本の教育・科学技術イノベーションに現況に係る関係情報等】

 

(1)低い教育への投資

教育への投資額(GDP比率)については、日本は、OECD加盟国38ヵ国中の第36位でほぼ最下位である。

(2)科学技術イノベーションの低下

 科学技術イノベーションの世界競争力ランキングをIMD調査でみると、日本は、1989年から1992年までは第1位、その後1996年までは5位以内を保っていたが、その後、低下し、2023年では35位までに低下している。

 

(3)「GDPの低下」

 2021年の国民1人当たりGDPは、日本は、OECD加盟38ヵ国中の第20位までに低下した。

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