科学技術政策史のための行政内部資料等の収集整理とその活用に関する調査
概要
[平成26年度(一財)新技術振興渡辺記念会助成事業]
JISTECでは、科学技術政策のために必要な資料の整理と管理体制の確立のための事業を進めています。
<事業背景>
現在の科学技術政策の大きな課題はイノベーションの実現であり、そのための制度を検討するにあたって戦後の政策史研究が注目されるようになってきています。なかでも行政内部の研究(立案、意思決定、施策の大学・研究機関や研究者の受容の過程の研究)は極めて重要と位置付けられています。しかし現状では、マクロ経済的なアプローチや、市民参加による政策実現手法の研究などは政策研究として行われていても、政策史研究のテーマは多くありません。
科学技術政策の研究は、大学の研究者により経済学、経営学、社会学的等の社会科学的なアプローチから実施されているものが多く、興味深い膨大な論文が生産されていますが、科学技術政策・行政のニーズに合致した成果としてまとめられているものは少ないという状況です。行政的なスキルを身につけていないと、せっかくの研究成果を実装するための方法(例えば予算化や制度化)が適切に選択されにくいということもあり、研究者の研究成果(論文)から政策・行政への実装は、最終的に各省庁の官僚の手にゆだねられているというのが現状です。
これらの政策史研究が進まなかった理由には、資料が行政内部資料でありアプローチが難しかったことにあるとされています。研究のためには、行政内部の資料を利用できる体制にしていくことが求められています。
<実施内容>
行政内部資料のなかには、旧科学技術庁職員により私蔵されていた資料があることも確認されています。これらの資料は、①資料の提供を受け、②収蔵場所を確保し、③利用可能な形で整理することにより、政策研究の資料として活用できるようになります。それら資料の収集・収蔵・整理、および、その資料に基づいた実証的な調査研究を行います。