IEA国際 数学・理科教育動向調査(TIMSS) 【教育・科学技術イノベーションの現況【2023年版】】

2024.05.14

2-1-12 IEA国際 数学・理科教育動向調査(TIMSS)

 「国際数学・理科教育動向調査」(TIMSS:ティムズ:Trends in International Mathematics and Science Study)は、国際教育到達度評価学会(IEA:International Association for the Evaluation of Educational Achievement、本部:オランダ、ドイツ)が企画、実施する国際共同研究調査である。1964年実施の第1回国際数学教育調査から続くもので、1995年に現在のTIMSSという名称に変更となり、それ以降4年ごとに実施されている。TIMSSの目的は、児童・生徒の算数・数学及び理科の教育到達度を国際的な尺度で把握し、指導方法や学習環境等の諸要因との関係について調査研究を行うことである。

 2023年にはTIMSS2023が世界中の国・地域で実施されている。TIMSS 2019は、小学校は58か国・地域、中学校は39か国・地域が参加して実施された。ここでは、これまでのTIMSSの調査結果について、一部を御紹介する。

(1) TIMSS2011、TIMSS2015、TIMSS2019では、小学校4年生の算数と理科、中学校2年生の数学と理科について、平均得点は高い水準を維持している。(「表2-17~20」、いずれも上位30位までを掲載)

(2) TIMSS2003以降、小学校、中学校ともに、算数・数学、理科の「勉強は楽しい」と答えた児童生徒の割合は増加している。小学校理科について「勉強は楽しい」と答えた児童の割合は、TIMSS2007以降、国際平均を上回っているが、小学校算数、中学校数学及び中学校理科について「勉強は楽しい」と答えた児童生徒の割合は、国際平均を下回っている。(図2-3、図2-4

(3) TIMSS2011、TIMSS15、TIMSS2019では、中学校において、「数学を使うことが含まれる職業につきたい」と答えた生徒の割合は国際平均より下回っていて、「理科を使うことが含まれる職業につきたい」と答えた生徒の割合も国際平均より下回っている。なお、肯定的な回答がわずかに増加する様子がうかがえる。肯定的な回答と平均得点の高さについては、正の関連が見られる。(2-5、図2-6)  

(銀島 文)

参考————————-

国立教育政策研究所編(2021). 「TIMSS2019算数・数学教育/理科教育の国際比較:国際数学・理科教育動向調査の2019年調査報告書」明石書店. https://www.nier.go.jp/timss/index.html https://timssandpirls.bc.edu/timss2019/international-results/ https://www.iea.nl/data-tools/repository/timss

(注釈) TIMSS2023の前身として位置付く調査の一覧: ・第1回国際数学教育調査(First International Mathematics Study:略称FIMS)1964年実施 ・第1回国際理科教育調査(First International Science Study:略称FISS)1970年実施 ・第2回国際数学教育調査(Second International Mathematics Study:略称SIMS)1981年実施 ・第2回国際理科教育調査(Second International Science Study:略称SISS)1983年実施 ・第3回国際数学・理科教育調査(Third International Mathematics and Science Study:略称TIMSS)※ 後に名称変更し、国際数学・理科教育動向調査の1995年調査(Trends in International Mathematics and Science Study 1995:略称TIMSS1995) ・第3回国際数学・理科教育調査の第2段階調査(Third International Mathematics and Science Study – Repeat:略称TIMSS-R)※ 後に名称変更し、国際数学・理科教育動向調査の1999年調査(Trends in International Mathematics and Science Study 1999:略称IMSS1999) ・国際数学・理科教育動向調査の2003年調査(Trends in International Mathematics and Science Study 2003:略称IMSS2003) ・国際数学・理科教育動向調査の2007年調査(Trends in International Mathematics and Science Study 2007:略称IMSS2007) ・国際数学・理科教育動向調査の2011年調査(Trends in International Mathematics and Science Study 2011:略称IMSS2011) ・国際数学・理科教育動向調査の2015年調査(Trends in International Mathematics and Science Study 2015:略称IMSS2015) ・国際数学・理科教育動向調査の2019年調査(Trends in International Mathematics and Science Study 2019:略称IMSS2019)

 

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